ディナーと巨大犬
先日、家族揃って知人の家に遊びに行きました。新年祝いを兼ねたディナーに招待されたのです。2年ほど前、カナダのバンクーバーからアメリカに移住してきた一家です 。本来は家内の兄の仕事仲間なのですが、あちらの家族と我が家の子供達が近い年頃で仲良くなり、家族ぐるみでお付き合いが始まったのです。
新年前後のホリデーシーズンにカナダでよく食べていたディナーをいただけるということで、よだれたらたら一家こぞってお邪魔しました。
奥さんの祖先が代々ヨーロッパのスカンジナビア方面で暮らしてきて、そのレシピを元に作ったというものです。
美味しかったですよ確かに。スープはオニオンスープのようなさっぱりした液体の中につみれっぽい食感のふわふわした肉団子のようなものが入ってました。牛のひき肉と羊のレバーをコネ合わせたものだそうです。ふっくら焼き上がったパンも自家製。名前を忘れましたが卵をふんだんに使ったパイのような食べ物も 美味しかったですね。表面のうす皮がパリパリと香ばしく中身はもっちりとした食感の黄色いチーズです。さらに長時間かけてローストしたハムや野菜サラダ。デザートには手作りのアップル・ストルデルというスウェーデン伝統のスイーツがふるまわれました。我が家では得難いとても贅沢なディナーでした。
でもね、私にとってその夜の主役は食事ではありませんでした。食事中もそばにいて、テーブルの料理や、私たちゲストを興味深げに見て回る巨大な生き物。その家で飼ってるワンちゃんだったのです。
漆黒の毛に覆われたネイビーブルーの瞳のそのメス犬はその名もネイビーちゃん。(もちろんカナダ人もアメリカ人もちゃん付けしませんが)
これがすげー可愛いのですが、またスゲー体格なのです。推定体長1メートル20センチ。体重はご主人によると「たぶん150パウンド」てことは70キロちかくあるの?
犬種はカナダ原産のニューファンドランド種というんだそうです。なんでもカナダでは救難救助犬として親しまれてる賢い犬種とのこと。それにしてもなんというでかさ。はじめ玄関先でみたときは熊かと思いましたよ。
こんなのがテーブルの周りをうろうろしてるのではじめちょっとビビったのですが、すぐに人懐っこい性格だとわかりました。なにか食べたそうにしていても、ちょっと遠慮気味に離れてにおいをかぐだけで、決して人の食べ物に近づきません。ときどきのどが渇くと、キッチンの隅にある、彼女専用のバケツの水を、バシャバシャ音を立てて飲みます。
背中を撫でてやるとわかるんですが、手ごたえがありすぎ。すごくぶっとい肉厚というか質量を感じるのです。いやー頼もしいったらありゃしない。
外に出たいときは「バウッ」と野太い低音でひと吠え。ご主人が裏庭へのドアをあけると喜んで遊びに行きます。帰ってきてもズドーンとアジの開きのように床の上に寝そべります。その様はまさに熊のはく製のよう!
もう一気にファンになりましたね。こんなの一頭ウチにいたらいいなと。
いやーでもうちは無理無理。小さな家ではとても保ちそうにありません。部屋中にちらばった黒毛のかたまりをみても、いかに世話するのが大変か想像できます。広々としたカナダの原野にこそ似合うあの体躯。ときどき訪ねていって遊ぶ程度が無難でしょう。
でもやっぱりうらやましーーーー。