アメモノウォッチャー

アメリカ在住者がご当地の気なるモノをピックアップし、ご紹介します。

しめ縄とリース

お正月も、一週間を過ぎるとじょじょにおめでた気分が抜けていき、なんだか寂しい気分で日常生活に戻っていくわけですが、 これは日本でのお話。

アメリカなんて1月1日、お互いにハッピーニューイヤー! ハッピーニューイヤーって笑顔を振りまいて、新年のお祝いはするんですが、それはその日1日だけ。翌日になると何事もなかったかのように通常の生活モードに戻ります。

はあー? もう終わり?

アメリカに来た時はあまりのそっけなさに拍子抜けしたものです。おいおい、もうあと1週間ぐらいお屠蘇気分でいようよ。そう言いたい気持ちでしたが、やっぱりアメリカでは新年よりクリスマスがホリデーの中心。休暇もイベントもクリスマスをクライマックスに計画を練ります。いわば1月1日はそのホリデーシーズンの最後の締めくくり。 きっちりけじめをつけて翌日からは通常の生活に戻るというのが例年の習わしなのです。

このようにアメリカと日本では年末年始のライフスタイルはいささか異なるのですが ときにはこのシーズン、ちょっと似通っていて面白い光景を見かけることもあります。

それはお正月のしめ縄飾りとクリスマスのリースの類似性。

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一般的なリース

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ちょっとアートなリース

しめ縄飾りはご存知のように、神社や家の玄関に正月飾り付けられるものですよね。 あれを見ると、あー正月だなあと感じる人も多いと思います。最近はめっきり見かけなくなりましたが、車のフロント部分にこじんまりしたしめ縄飾りをつけて走っている自動車の光景をよく見たものです。いかにも車でお正月を祝ってますよ、と言わんばかりのおめでたい雰囲気。あれが私は大好きでした。

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昔はよく見かけたもの

ところがなんと、アメリカでも車のフロント部分にしめ縄の代わりにちっちゃなリースを飾っているのを時々見かけるのです。ぱっと見、あれ日本人かな、と思って見返すとそれはしめ縄ではなくクリスマスの飾り付けであるリースなのです。面白いことに全体の印象はとても似たように思えるから不思議です。

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アメリカでも希少化しつつあるクリスマス飾り

たぶん、どちらも 常緑樹の葉っぱをモチーフにしているからでしょう。しめ縄を中心に松葉や松ぼっくり、笹の葉をくっつけたり、めでたいの熨斗紙や紅白の鼻緒のようなものをつけたりもしますよね。対してリースの方もトゲトゲになったヒイラギの葉とか 松ぼっくり、木の実、赤いリボン などで祝賀っぽい雰囲気を醸し出します。リング状にしめ縄を巻いた飾りなどはもうほとんどリースかなって感じです。ちなみにリースが基本輪っか状なのは古代ヨーロッパの文化から来たものだそう。月桂冠などもその系統で、輪は永遠をあらわすと同時に崇拝対象であった月や太陽とかかわりがあるそうです。

滅多にないことですが、昨年、フロリダのナンバープレートの大型車が正月、ちっちゃなオレンジの実をリースにくっつけて走行してるのを見かけました。これには感激しましたね。なぜかって私は、ミカンの産地、和歌山の出身で、鏡餅とミカンをくっつけたしめ縄飾りの車を昔なんども目にしていたからです。そうです、フロリダもオレンジの産地でシンボルカラーもオレンジ。だからリースにも珍しくオレンジをあしらってたんでしょうね。緑の葉にオレンジ。そのあまりの類似性にワー、世界はどっかでつながってる! と感動してしまったのです。

しめ縄とリース。共通しているのは見た目だけではありません。玄関に飾る習わしも元来は家内安全、魔よけ、厄除けですし、車につけるのも単に新年を祝うだけでなく、身の安全を引いては世の中の安泰を祈願してのものなんですからおもしろいですよね。

このように洋の東西、異なる文化背景を持ちながらも意外な接点を持つものは少なからずあるようです。このブログでも、今後幾度も取り上げることになるような気がするので、またなにか興味の湧くものを見つけたらご報告したいと思います。