アメモノウォッチャー

アメリカ在住者がご当地の気なるモノをピックアップし、ご紹介します。

ゾディアック・カレンダー

今年の干支はイノシシということですが、当然アメリカではそんなこと考える人もいません。十二支なんて何のことだかさっぱり分からないでしょう。でも私だって改めてアメリカ人に十二支のことを説明しようとすると、あれなんだっけ? と根本的な説明ができないことに気づかされます。日本人は物心ついたときから、学校で習わなくても身近に十二支の概念が身についているものです。ぼんやりと元は中国から来たもので陰暦の十二方位に動物をあてはめたもんだよな。西洋の星座みたいなもんだよな。それくらいの認識です。私なんか改めて十二支って何だろうかと考えることもありませんでしたけど。

ところがアメリカに来て思わぬところで干支の説明をしいられることになったのです。それはアメリカ人とチャイニーズレストランに入ったとき。よく見かけるんですよ十二干のイラストと文章で説明した紙のテーブルプレート。 アメリカ人はこれをゾディアックカレンダーなどと呼びます。これが結構どこへ行っても同じような図柄で、該当する生誕年と十二支それぞれの性格を簡潔に説明しているのです。西暦何年生まれがこの動物だよと言って占いの一種として説明するわけです。

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チャイニーズゾディアック

「 あなた何歳?」私が聞いて相手がたとえばば戌年だと答えます。「じゃあこれだね」私が犬のイラストを示すとそこには「犬は従順の象徴なのであなたもそういう性格」とか「戌年のあなたと相性が悪いのは申年の人」だとかそんなことが書かれているのです。まあレストランで食べ物が出されるまでの話のネタとしてはいいのですが、説明する私の方がよく分かっていないので困ったりします。

「十二支の中で唯一架空の動物である龍が入っているのはなぜ?」とか「とてもポピュラーな動物なのに猫が入っていないのはなぜ?」などと聞かれると困ってしまいます。いつだったか、じゃあお店の中国人に聞いてみようということになり、アメリカの友人がレストランの従業員に聞いてみました。「どうしてこの干支に猫はいないの?」

すると若い従業員の女性は笑いながら知らないと言いました。まあ本家中国でもやっぱり若い人はわからんのだろうなと推察しました。日本では昔話しとして、ねずみが猫をだまして十二支の会合に参加させなかったのが原因、とかいうのが定説?のようですが、なんだか後付けっぽい。

私はその後しばらくしてニューヨークのダウンタウン、チャイナタウンの近くに行く機会があり、そこで働いている台湾出身の知人にそのことを聞いてみました。四十代のその知人もよく分からないが、と前置きし年配の人から聞いた話を聞かせてくれました。それによると、大昔中国のお坊さんが干支として描いた虎の絵が猫に似すぎていて、まぎらわしくてキャラが被るという理由で猫がはじかれたというのです。エーッ! そ、そんな。もしそうだとするとひどいですね。お坊さんの絵がもっと上手かったら猫も十二支に入っていたかもしれません。

ちなみにこのゾディアックカレンダーで今年の干支は「ぶた」です。PIG。そう、十二支が日本に入ったとき、中国で豚を意味する「猪」という字がイノシシと読み違いされたようです。アジア広しといえど、イノシシ歳があるのは日本だけのようですね。