アメモノウォッチャー

アメリカ在住者がご当地の気なるモノをピックアップし、ご紹介します。

日本のイチゴ最高論。

こちらニューヨーク界隈の市場でもそろそろ春の訪れを待ちかねたように、季節を先取りした旬の野菜や果物が出回り始めています。

今回、数軒のグロッサリーストアで目についたのは、イチゴです。

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ビタミンたっぷりのイチゴはアメリカでも大人気。

やっぱり栄養も豊富で見た目も華やか、健康的なイメージの真っ赤な果実は春果物の代表格ですね。私も子供のころから大好きで、いまでも思い出すのは、家から歩いて5分の所にあった農家直売の朝市です。母に連れられてビニルハウスを訪れると、そこはもう、ほんのりとイチゴの甘い香り漂う別世界でした。そこの農家さんでは朝から摘みたてのツヤツヤでつぶつぶの真っ赤なイチゴが籠に入れられ、ご近所からくるお客さんを、さあいらっしゃいとばかりに待ち受けているのです。

卸売りの業者さんが買い取りに来る前の、わずかな朝の時間帯に、近所の人だけが優先的に手にすることのできる優越感、これが何とも言えない喜びだったことを覚えています。しかもそのイチゴ、世間ではまったく無名のはずですが、どのスーパーで買うイチゴよりも圧倒的に甘くで芳醇な香りがした、これが間違いのない記憶なのです。

いやー、ほんとにおいしかった。

ほかの、他所で買うイチゴは当たり外れが激しくて、味が薄かったり甘みにかけるものには容赦なく砂糖を振りかけたり、練乳にどっぷりつけて食べたものです。

翻って、今現在の、アメリカのイチゴはどうなのか。

結論から言うと、日本のイチゴの勝ちです。

こちらでみんながおいしい、おいしいといって口をそろえるイチゴを私が食べると、いつも「え、これで?」と首をかしげてしまいます。

アメリカのイチゴはおよそ7割近くがカリフォルニア産、2割弱がフロリダ産でその大半を占めていますが、いずれも似たり寄ったり。私がベター(ベストではない)を思ってよく買うフロリダ産のイチゴもまずまずの甘さを保って入るものの、日本の産地直送で食べたイチゴのまろやかな甘さとは比べるべくもありません。圧倒的に日本のイチゴのほうが勝っているのです。

むかし、人づてにアメリカで一番おいしいストリベリーはHarry's Berryというファームのイチゴだと聞いたことがあります。なんでも1960年代にサンタモニカで始めたファームで地元ではかなり評判だったとか。それがなんとIWAMOTOという日本人入植者による農場だったというのです。やはりその当時から野菜、果物の味へのこだわりは日本人が一枚上手だったのでしょうか。

一方、アメリカでは果物の加工技術が早くから発達していました。酸っぱいイチゴやオレンジにこれでもかってぐらいに砂糖を加えて、ミックスして瓶詰にする。すなわち果物のジャム化。酸っぱければ甘くすりゃいい!これがアメリカ流です。スーパーマーケットに並ぶその品種の多いこと!

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圧倒的にジャムだらけの棚

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あまたある瓶ジャムでもこれはお薦め。

また各家庭にもたいていジャムやジャムを使った料理のレシピが備わっています。

とくに現代から一世代前のおばあちゃんがいる家では、ストロベリーやブルーベリーのジャム、マーマレードにアップルパイ、かぼちゃパイなんかはいつでもさくっとつくれるお手の物です。ちょうど日本で梅干しや漬物をつくる感覚ですね。

なので年配の方のいる知り合いのうちを訪ねたりすると、瓶に詰めたオリジナルの手作りジャムなんぞを頂いたりもします。これはこれでとても貴重でありがたいことですね。

しかし、なるほどアメリカの人は品種改良よりも手っ取り早い、果物の加工化を発展させて今日の食文化を気付いてきたんだな、とは感じます。いやもちろんアメリカの農業史のなかには大変な努力で品種改良したトウモロコシの歴史などもありますので、一概には言えませんが、ことイチゴの限定していえば、日本の勝ちです。

ああ日本のイチゴ、サイコー。これは目下のところ、否定できないと事実だと思うのであります。